情報科学研究科 メディア科学専攻

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認知情報論講座

人の理解と遂行の意味を探る:わかることとできることの統合に向けて

齋藤洋典●さいとうひろふみ
名古屋大学大学院情報科学研究科・教授

脳はいかにして「意味」を理解しているのか、その仕組みを解き明かすために、人の認知・記憶・感情・行為などについて多角的な観点から研究を進めています。人の多様な情報処理活動の過程を、認知心理学の手法や、脳波・眼球運動・行動の計測装置などを利用して、認知科学的なアプローチで解明しようとしています。 最近は、人の知覚、記憶、言語、思考、注意や意識などの高次精神活動と、それらの活動を支える身体運動・動作・行為・行動などの身体活動との相互作用の解明を目指しています。例えば、言語による精神活動とジェスチャーなどの身体活動とを「つなぐ」知識処理とその「表現」について考えようとしています。 「想い」は表現されても、伝わらなければ「意味」を失い、また伝わっても「行動」に移されなければ、その「使命」をまっとうすることができません。人々の生活における認知的「支援」をどのようにすれば実現できるのかを、実践的に研究することも、わたしたちの重要な使命だと考えています。 …

創造・発見に関する認知科学的研究

三輪和久●みわかずひさ
名古屋大学大学院情報科学研究科・教授

情報処理アプローチに基づき、人間の高次思考過程を研究している。特に、科学的発見、より一般的には創造的思考過程に興味がある。現在取り組んでいるトピックスには、科学的探求過程、相互作用(協調問題解決)、アイデアの創造過程、WWW空間の探索過程、洞察過程、およびそれらの学習支援などがある。我々の研究室では、これらのトピックスを、計算機モデル(Computational Model)、心理実験(Psychological Experiment)、学習支援システムの構築(Tutoring System)といった3者の連関の中で探求する。 …

ヒトの心の輪郭

川合伸幸●かわいのぶゆき
名古屋大学大学院情報科学研究科・准教授

ヒトや動物はどのように環境の情報を取り込み、知識を獲得し、適切な行動を遂行するのかということを調べています。行動科学や実験心理学の手法を用いて、成人や子ども、自閉症の方、ヒト以外の霊長類を対象に研究しています。そうすることで、ヒトにだけ特徴的なこころの働きや、他の動物にも共通する側面を調べ、ヒトの心の輪郭を浮き上がらせようとしています。最近では、私たちはなぜ他人の視線や手の指し示す方向に注意を向けてしまうのか、といったコミュニケーションに関わることを、CGやロボットなどを使って調べています。また、タイプを打つことに代表されるような、系列的に行う運動の計画は、どのような過程によって実現されるのか、といった行動の出力に関わる研究も行っています。 …

物体認知に関する実験心理学的研究

光松秀倫●みつまつひでみち
名古屋大学大学院情報科学研究科・助教

人間がどのように物体を認知しているのかを研究しています。私たちの身の回りの物体は、照明や観察する視点などの条件によって、見え方が変化します。そうした変化にも関わらず、人間は、瞬時の内に、さまざまな物体を見分けることができます。どのような処理過程によって物体が認知されているのでしょうか?こうした疑問に対して提唱された様々な仮説を、実験心理学的手法によって検証しています。特に、実験に仮想的環境を導入することによって、実験室を外界の環境に近づけるアプローチを取り入れて、従来の研究からは明らかにされてこなかった認知的側面を研究することに関心を持っています。 …

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